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2011.12.07

第百十六段「名付け」

  僕はなるべくこだわりを持たずに暮らしているのですが、スキキライはけっこうあって、意外なのか意外でもないのか偏屈な人だと思われることもしばしばあります。


 スキという漢字は──僕は現在の中国(中華人民共和国)が全くスキになれないので、漢字も大キライ。なにも、漢とか呉とかの王朝にはなんの怨みもないどころか、その文化はすばらしいと思っているのですが、できるだけ漢字を使わないようにこの文章も書いています──「好」女の子と書きます。


 だから女の子が好きという話ではなくて──たしかに女の子は基本的に好きでも──女の子の名前で好きなのは「ゆうこ」「ようこ」が断然トップです。

「こ」は、たいてい「子」ですね。聖徳太子や小野妹子の時代では、男子の名前でしたが。明治の後半に華族で流行して、大正時代に一般にもほとんど女性の名前が○○子になったそうです。


 僕は幼稚園で図工を教えていたり、息子が保育園に通っているのですが、女の子で子がつく子は激減していて、ほとんどいません。僕の同級生には、かなり子は多かったと思います。「子」「美」「恵」「代」は女の子の名前の四天王でした。

 いまは変わった名前が多すぎて、少々変わっているくらいでは、もうおどろかなくなりました。


 僕らの世代では「愛」ちゃんは「アイ」ちゃんでしたが──愛と書いてメグミなんていうのもありましたけれど──いまはたいてい「マナ」ですね。愛娘ですから、まちがってはいません。

 ふつうはアイだと思うのですが、あえて稀少な読み方を選んでいます。読み方がある字を使っていれば、夜露死苦とか愛羅武勇とか暴走族の落書きみたいな、アニメキャラか外国人みたいな名前でもなるほどと思えるのですが、字と音が合っていないと感心する前にポカーン……としてしまって面白さがわからなくなってしまいます。

 たとえば、愛をラブとか、天使をエンジェルとかいう名前です。「光宙」はピカチュウ「月」はルナくんだそうです。もうスペースコロニーで生まれた子供みたいです。


 しかし、読みにくい名前なら昔からあります。乃木希典、蘇我入鹿、細川護煕、寿限無なんて知らなかったら、んっ? って一時停止しそうです。


 では、問題です。いくつ読めますか?


 絆星、 綺月、雲苺、来星星、空星、聖母、耀桜、雪花月、妹香、来星、姫星來、水晶、姫煌、可憐、騎星星、秋桜、姫星星、輝笑、妃藍、姫美々、雪花々、綺羅星、瞬、輝、煌來、姫空、星花、流星、星姫、綺星、姫星、希空、稀月、綺瞳、聖羅愛、京世、希望、美星、星輝、星愛、希星、雪麗、煌藍、姫輝、星空、妃愛、星々、輝姫、葵星、輝花、希愛、星音、輝星、光星、輝良、煌々、貴愛。


 これは、実際にいる女の子の名前で、全て「キララ」と読みます。むつかしい漢字も呆気にとられますが、キララと聞いてさらに目が点になりませんか。

 幼稚園の名簿には、はじめからルビがふってあります。ほぼ全員が珍しい名前なのですが、中でもこれはスゴイと思った園児は名前の凄さもさることながら、なぜか教育困難生徒が多くてすぐに顔も覚えます。


 余談ながら「昴」は、れっきとした日本語で、古よりの天体の呼び名です。プレアデス星団という散開星団。自動車のエンブレムに六つの星が描いてある、あれです。

 昴くんは、純日本名ですので、大和くんとか武尊くんの仲間と思いましょう。


 難読名前の子は、入試や就職で苦労する可能性が高いと指摘する評論家もいます。それは、その子に問題があるのではなくて、親に常識がないと思われてしまうからだというのです。学校では子供以上に、いまは親とのトラブルを避けたいので、面接ではやはり色眼鏡で見られるだろうと。


 吉田兼好は「人の名も、目なれぬ文字をつかんとする、益なき事なり。何事も、めづらしき事を求め、異説を好むは、浅才の人の必ずある事なりとぞ」 と、徒然草に書いています。

 浅知恵な人は、変わった名前をつけたがるというのです。

 よく古代エジプトの壁画に「いまどきの若い者は」と書いてあると聞きますが、日本でも昔からヘンテコな名前をつける親は、浅才なやつだと思われていたようです。


 浅はかだとまではいいませんが、こんなところでしか自己主張ができないのかと思うと、ちょっとかわいそうな気もします。ほかに勝負するところは、なかったのでしょうか。

 難読名前の生徒が多い高校大学は、偏差値が低いという傾向があるそうです。


 名は体を表すといいますが、名前に自分の人生を左右されてることはないのだけれど、親や家庭の環境は、かなり影響をあたえますから、面接で落としたくなる気持ちもわかりますし、勉強できない子が多いのも体験として頷けます。


 敦子、優子、由紀、麻里子、麻友は、ふつうに読めますが、これは二千十一年のAKB48総選挙の上位五人です。「子」が三人も入ってます。「ユウコ」もいます。子には、なにかありそうです。


 画数がわるいから「。」をつけるなんて言いだすよりも、大切な子供が良く正しく真っ直ぐに育つよう、見守ることこそがだいじです。


 ついでながら「ユカリ」ちゃんは、九割方かわいいです。


 キララちゃんは、キララちゃんの顔をしているのでしょうか。

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